Ragazzi blog

サイクルショップ Bicycle Ragazzi のブログ

重くて進まない自転車

タイヤ交換で持ってきた学生の通学車、長いことノーメンテだったようなので
同時にチェーン引きとブレーキチェック、それからチェーン・スタンドに注油
作業中「チェーンのたるみは伸びってゆうけど実は摩耗なんやで」とか説明してると
「もう一台、見てもらいたいのがあるんです。なんか重くて、それからパンクもしてるみたいで
 いつの間にか空気が無くなるんです」
「重いのはブレーキ引きずってるかもしれんなぁ、空気はどれくらいで抜ける?」
「よくわからないけどひと月ぐらいかな?」
「それだけもったらチューブが安もんで薄いんやとおもうわ」
「そうですか、今友達に持ってきてもらいます」



しばらくして彼の友人が持ってきた自転車
曲線で構成したスタッガードとでも言うのか今風のオシャレにも気遣ったシティサイクル
まだ新しい新車のようですが、コレが走ると重いらしい。
ヘッドマークの見慣れたデザイン、食料品から日用雑貨まで手掛ける有名ブランド
T○PVALUに気づいて「これはアカンかも」とは思ったが一応ブレーキ点検、引きずりなし。
ハブ、BBも問題なく回る、スポークテンションも異常なし、タイヤの空気もOK
つまり、というかやっぱり重い要因はフレームにあり
という結論。





「自転車はな、ペダル漕いでクランク回してそんで後輪回して走る機械やねんけど
 ペダル(BB)と後輪をつなぐフレームが撓んで、キミのチカラを吸い取っちゃうから
 重くて進まんのよ」と説明せざる得なかった。
その説明で合点がいったようで
「そういえば、頑張ってペダル踏めば踏むほど進まない感じがあった」
そゆこと、入力が大きくなればなるほどフレームが撓む
撓んだ戻りで「フレーム助けてくれる」なんて感覚は撓みがただ不安定の原因になるだけの
スタッガードフレームで、さらにクランク下死点で立ち止まるような
『立ち漕ぎ』をして感じるはずもなく、ただ疲れるだけの感覚になるのは当然。




最初に持ってきたタイヤ交換をした通学車はブリヂストンの専門店向けモデル
くたびれ具合から乗り出して5年は経ってるだろうけど
そいつ基準で乗り比べたら土俵の違うT○PVALUの自転車がかわいそうだし
ブリヂストンには失礼ってもんだ。
ブリヂストンは走行性、耐久性がまずありきの設計思想
 T○PVALUは見えない基本性能は コストの割にアピール低いので置いといて
 目に見えるオマケ機能満載なスゴイ自転車を
 毎日がロープライス!お得な価格でご提供!が設計思想)




うちは基本スポーツサイクルだけど中学校の自転車通学地域ということで
ママチャリ修理も請け負うし通学用の自転車も扱ってるけど
1万円台とかの安物自転車を置かないのはこれが一番の理由



基本は甘いが価格で勝負!という自転車を売るということは
モノの良し悪しを知らないから、それを売ってもうしろめたさを感じないとかでないと
やってる仕事に疑問持っちゃうよ。
「俺、こんなもの人に押し付けていいのかな」ってね。