70歳のロードバイク
先日友人との話の中でこんな話が出た
「長尾藤三の本は読んだ?我々の自転車に対する考え方にかなり近いよ」
読みましたとも、阪神淡路大震災の前年、神戸に住んでいた頃
『おじさん自転車講座』という本を読みました。
『おじさん自転車講座』は
中年を迎えて初めて自転車(スポーツサイクル)に乗り始めた著者が
年齢に見合った自転車の楽しみ方を綴った本です。
こちらは残念ながら今は廃刊になっているようです。
ロードレーサーは本来『速く走るためもの・レースのための機材』です
でも、我々一般人にとって『人よりも速く・昨日の自分よりも速く』とか
『ツールやジロで活躍するブランドこそが本物』というようなストイックさや憧憬で所有するより
『ジテンシャは乗ってキモチイイ・弄って愉しい・眺めて飽きない』という付き合い方のほうが
人生の中で永い時間を掛けて楽しむ趣味としては向いていると思っている僕には
著者の『ジテンシャはキモチイイ』というごく当たり前の身体感覚と自転車の機能美を愛でる視線
そしてその楽しみ方を伝えたいというところに共感を覚え、いまだ手元置いています。
その長尾氏の新刊『70歳のロードバイク(五月書房刊)』が11月に発刊されていましたので購入しました
20年近く経っても氏のスタンスに変わりはなく、僕も20代から40代へと年齢を重ねましたが
当時と同じように共感できました。
おもしろかったのが著者が外せないジテンシャとして挙げているイタリアンロード
デローザ・コルナゴ・チネリ・トマジーニ・カザーティ・ジオス
思わずうんうん、そうですよねって思っちゃいました
だってうちの数少ない取り扱いブランド(現在店頭在庫7ブランド)のうち
カザーティ・ジオスが挙がっていましたから(笑)
自転車趣味を始めたけどトレーニングとかそこまでは・・・とか
始めてみたいけど敷居が高そう・続けられるかどうかわからないって人は
中高年に限らず女性も若い人もぜひ一度読んでみてください。
雑誌等の情報に右往左往することのない自分なりの価値観を持ったサイクルライフを得る道標になり得る本です。
読んでみて「ああ、やっぱり自分は自転車向いてないな」と思ったら他の趣味を探しましょう。
(あっ、僕自転車屋やった・・・汗)
下手に「安いやつでちょっと自転車始めてみるか」とホームセンターや量販店でクロスバイクと銘打たれた自転車(クロスとは呼んでますが、実際は水道管のようなフレーム(水道管に失礼ですが)に中国製の安ママチャリクオリティのパーツで組んだ乗っても持っても重たい低品質自転車)を買ってあまりの重さに「自転車なんておもしろくないや」となったら自転車を楽しむ機会を逸するし、なによりそんな使えない自転車を買うよりずっと安上がり(定価1575円)です。