Ragazzi blog

サイクルショップ Bicycle Ragazzi のブログ

無理矢理チューブレスやってみた

カンパニョーロ・バレット フルクラム・レッドウィンドシリーズが発表になったとき
リムハイトで3種、ハブ(ベアリング)で4種、スッテッカーで2種
そしてWOか2WAYか、とまぁエライ幅広い選択肢が用意されていましたが
2WAYFITだけは未だに現れず、当初期待していただけにWOモデルで
チューブレスが履けないものかと試してみました。



結果は

出来ました。


もちろん、そのままでは無理でリムやバルブに小細工してますが
シーラントなど使わずにエアの保持はできています。



とまぁ、ここまではよくネット上のブログなどでも見かける
『チューブレス出来たよ!』な内容なんですが
ここからは使ったらどうなるか?を想像して自転車組を生業にしているもんの考察です。



とりあえず走れる状態ですが、実際使うか?となると
使う気にはなれません
もちろん自分で使えないものを誰かに勧めるはずもありません。



実際できるか試したかった、それで結果全く不安が無い!という状態なら
使ってみようとはじめは思ってましたが
結果的には『不安』と感じる部分を実感し、不安を感じながらの運用は
『メリット以上に自由をそがれる』というのが僕の判断です。
『チューブレスでは使わない方がいい』と判断できたことで
チューブレス化の可能性を断ち切れてすっきりしたのが一番の収穫でした。



やってみて感じたデメリットは
1)6Bar以下だとサイドを指で押しただけで微量のエア漏れがする
2)1の理由でシーラントは必須
3)リム内側面にアルマイト処理していないのでシーラントによるリム腐食は必至
4)WOリムなのでハンプ(ビード落ち防止の凸部)が無いので
  スローパンク時やレコード状路面はもちろん、何かの拍子にビード落ちの危険がある
  (これ、けっこうヤバいデメリット)



ここでチューブレスのメリットをおさらいします
1)転がりが軽い
2)パンク時の減圧が緩やか(スローパンク)
3)リム打ちパンクが起こらない
4)チューブが無い分エアの量が増える
5)4)とあわせてタイヤとチューブの摩擦が無いことで乗り心地が良い



一方デメリットは
1)タイヤの脱着が固い
2)シーラントが場合によってはリムを痛める
3)シーラントが効かなかった時のパンク復旧が面倒



僕は結構チューブレス勧めますが、普通のチューブレスでもメリットデメリットを考えて
チューブレスが敬遠されることがあるのに無理矢理チューブレスでは
得られるメリットに対してホイール寿命を縮めてさらに抱える不安が大きい。



「無謀と冒険は違うんだぞ!」と若いころ友達の親父に言われたけど
この無理矢理チューブレスはちょっと無謀の側に片足突っ込んでる気がする
人生楽しむための趣味で自ら大怪我や命を落とすような改造はやめた方がいい。



自転車ってある程度弄れるようになるとほぼすべての機械部分が目に見えてるから
何でもできるような気がするし、実際どうにか形にはなると思う。
ただ、乗り物なので一番大事なのは実際動かしたときどんな動きをするか?である
メーカー指定外の運用ではどんなリスクがあるかを自分の勘で感じられないと
(本人の)想定外の事態を招くことになる。



たとえば変速不良だって大怪我の原因になりうるといえば
「あぁ、なるほど」と思う人もいれば「はぁ?何言ってんだ?」って人もいるだろう
前者はリスクを理解して事に当たれるから安全は確保(いわゆる自己責任の範疇で)
できるだろうけど、後者がネット見てやった聞きかじりの作業して「出来たぜやったー!
なんかあっても自己責任、文句言わなきゃいいんだろ?さっシェイクダウンだー」って
他人のいる公道に出て来られるのは正直勘弁願いたい。



自分で自転車を弄りたい人は(基本的な事ができる前提で)何度も何度も
『ばらして組んで乗って感じてばらして組んで感じて乗ってばらして組んで乗ってばらす
 想像しながら組んで感じながら乗ってばらして組んで乗って感じてまたばらす』
こんなことをずっと繰り返したら、勘が養われ組む時の自分なりの工夫が生まれてくる
『運用した先を想像しながら組める』ようになったら責任もって人のを組んであげても大丈夫。
ただし、ここまでできたら無償で責任負ってまで人の自転車組めなくなっちゃうけど(笑)




レッドウィンドはエアーの保持を確認して4日後にチューブレス化解除しました。
チューブレス化にかかった費用は無駄になりましたが、これも僕の芸の肥やしです。