Ragazzi blog

サイクルショップ Bicycle Ragazzi のブログ

クロモリは乗って楽しいから価値があるんだよ

僕の場合、クロモリの自転車=カーボン主流の時代に古き良きを懐かしむためのトラディショナルな自転車ではないんだな。

変速システムが多段化し10速・11速となった今、どんな変化が起こったか?昔の5・6段時代だったら多少の負荷の変動も同じギアのまま踏み込んでたのがギアのクロスレシオ化により1段シフトアップまたはシフトダウンしてギアを負荷の変動に合わせるようになった。
つまり、ギアの多段化は変速回数の増加というライディングスタイルの変化をもたらしたわけです。
変速回数が多いということはブラケットから手を離さず乗車姿勢もそのままで変速できる手元変速(STIやエルゴパワー)が当然有利、というか片手ハンドルでちょっと姿勢を落とさないと変速できないWレバーだと昔のように「このギアのまま行く」のほうが楽だったりして多段化の意味がない。昔もマツボックリ見たいなクロスレシオギアはあったけど乗り手も場所も選ぶシロモノ、今の時代にWレバーがいいという向きに扱えるものではないでしょう。
それでもWレバーの操作感が好きでどうしてもっていう方はパーツはシルバーでってなるのでスギノのクランクにティアグラのRDあとは8速のクラリスでちょっとワイドレシオのカセットで組む。Wレバーで乗るのならそのほうが使いやすいのです。
フリクションのWレバーなら何速でも使えるからと11速で組んであったりすると「実際乗って選んだ実用的なチョイス」ではなく「出来るからやった」感がはんぱない。
メッキラグの美しいフレームにアテナのシルバーでエネシクロのWレバーなんて「組んだ・眺めた・満足した」でおわり、美しくよく走るフレームを作ったビルダーの情熱、世界ではじめに11s化したカンパの情熱を歪んだ形で昇華させたアッセンブルをまえに「クロモリにはWレバーだね」とか言われたら「それはないわ」としか返しようがありません。
Wレバーにこだわれば、理想はオールドパーツを集めて組む、それができなきゃクラリスを軸に8速コンポこの2択になってしまいます。

もちろん趣味の世界です、やりたい人はやったらいいんです。ただ僕の「自転車に『乗って』楽しんで欲しい」という思いとは反するのでノスタルジーな記憶やネット・雑誌の影響でステレオタイプになっている方には一応説かせていただいてます。

ー僕の場合、クロモリの自転車=カーボン主流の時代に古き良きを懐かしむためのトラディショナルな自転車ではないんだな。ー

こんなこという僕のクロモリ(実際はクロモリではなくニバクロムらしい)はどんなものかというとエルゴレバーとクランクはカーボン、トップチューブはスローピング、ダウン・トップ・シートの各チューブは薄く外形はやや太い。
メッキラグでシルバーパーツで〜なんて『目に見える価値観』しか見えない向きには正直理解できない、てか、趣味の自転車乗りどころか自転車屋でもわかる奴は非常に少なくてビルダーさんなら「なるほどね」ってなるような自転車
ビルダーの技術・理想のアッセンブルで僕にとって「最高の乗り味と所有する喜び」を満たしてくれます。
最高の乗り味を求めているのに、「カーボンやからこう組む、クロモリやからこう組む」なんて枠をわざわざ作るのはナンセンスなのです。